相談内容

私は、賃貸物件の一部屋を知人に貸していたのですが、仕事がうまくいかなくなったようで、賃料を滞納されています。ある日、知人と連絡が取れなくなり、そのまま荷物を置い出ていってしまいました。(男性・50代)
※事件の特定を避けるため、相談内容を一部改変しています。
当事務所の対応
連絡が取れなくなった知人の行方を調査し、建物の明渡と未払賃料の支払を求めました。しかし、相手方から何も連絡がなかったため、やむを得ず、訴訟を提起しました。勝訴判決を得た後、建物の明渡の強制執行を行い、無事、解決となりました。
弁護士のコメント
賃借人が賃料を滞納し、夜逃げ同然で出ていってしまったとしても、賃貸人は勝手に賃借人の荷物を処分したり、貸した部屋を取り戻してはいけません。なぜなら、法律は、自力救済(私人が実力でもって自身の権利を実現すること)を禁止しているからです。
そのため、このようなケースでは、建物の明渡及び未払賃料の支払を求める訴訟を提起し、債務名義(勝訴判決)を得た後、強制執行手続を取らなければなりません。
一口メモ:目的外動産の処理
建物の明渡の強制執行において、建物内に残された賃借人の荷物(これを目的外動産といいます。)は、執行官によって原則として賃借人等に引き渡されます(民事執行法168条5項前段)。しかし、本件のように、賃借人と連絡が取れず、目的外動産を引き渡せないときは、これらは執行官において保管・売却されることになります。売却の方法は、➀動産執行の例により、執行官が保管した上で売却する方法、➁明渡の催告を実施した際、断行日に即時売却を行う旨を決定して行われる即時売却の方法、➂断行日の際、目的外動産を相当の期間内に債務者などに引き渡すことができる見込みがない場合に行われる即日売却もしくは近接日売却の方法があります。目的外不動産の中に高価なものがある場合は、➂の方法は選択できません。