相談内容

亡くなった母が、兄よりも私に多くの遺産を相続させる内容の自筆の遺言書を作成していました。ところが、これに不満をもった兄から「母がこのような遺言書を作るはずがない。この遺言は無効だ。」と訴えられました。(男性・50代)
※事件の特定を避けるため、相談内容を一部改変しています。
当事務所の対応
弁護士において、遺言書を作成した当時のお母様の心身の状態、相談者様とお母様の日常的な関りや支援状況、お母様が亡くなった後の対応等を相談者から丁寧に聴取しました。そして、それを裏付ける資料を取り寄せ、裁判所に提出しました。さらに、お母様の筆跡に関する鑑定書も提出しました。約2年かけて控訴審まで争われましたが、一審、控訴審ともに当方の主張が認められ、無事、解決となりました。
弁護士のコメント
遺言書には、公正証書で作成する公正証書遺言と、自筆で書く自筆証書遺言の2種類があります。公正証書遺言は、国の公務である公証作用を担っている公証人が、証人2名立会いの下で作成しますので、誰が、いつ書いたものであるかは明確です。
一方、自筆証書遺言は、本当に亡くなった方が書いたものであるのか、どのような状況で書かれたものであるのか不明なものもあり、遺言が無効であるとして争われることが度々あります。それにも関わらず、簡便であるという理由で、自筆証書遺言のニーズは高い状況にありました。
そこで、自筆証書遺言の簡便さを生かしつつ、本人確認、形式的要件の確認をし、さらに遺言書の保管までしてくれる「自筆証書遺言書保管制度」が2020年に創設されました。推定相続人同士の関係性が良く、簡単な遺言であれば、この制度の利用をおすすめします。
コラム:自筆証書遺言書の保管制度か公正証書遺言か
自筆証書遺言書の保管制度の下では、形式面の確認をしてくれたり、検認が不要であったり、手数料が安価である等、自筆証書遺言と公正証書の良いとこ取りであることに加え、亡くなったときに相続人に遺言書の存在を通知してくれるという今までにないメリットがあります。それでもなお、多数の遺産があるケース、遺留分への配慮が必要なケース、家族信託と併用したいケース、遺言執行を第三者に依頼したいケースなどでは、法律の専門家による支援が必要ですので、公正証書でもって遺言書を作成した方がよいでしょう。