相談内容

先日、私が所有していた土地を売却したのですが、売買代金は登記簿上の土地の面積を基準に算出しました。ところが、決済が終わった後、買取業者が測量したところ、実際の面積は登記簿上の面積よりも随分と広かったようです。買取業者に騙されたような気分です。(女性・30代)

※事件の特定を避けるため、相談内容を一部改変しています。

当事務所の対応

 弁護士から買取業者に通知書を送り、土地の差分の代金の支払を求めましたが、支払を拒否されてしまいました。そのため、裁判所に訴訟を提起し、過去の判例などを示しながら主張・立証を重ねました。最終的には、請求額の約2分の1の金額を買取業者に支払ってもらう内容で和解が成立しました。

 

弁護士のコメント

 「公簿売買」と呼ばれる土地の売買では、登記簿上に記載されている面積と実際の面積とに差があっても、後日、精算することはできません。そのため、今回のような請求は、一般的には認められません。
 ただし、この面積の差が非常に大きく、経済的な損失が著しいケースでは、錯誤(勘違い、間違い)による契約の取消を主張する余地があります。例えば、購入した土地が実際には登記簿上の面積の約4分の1の広さしかなかった事例(東京地裁昭和50年5月14日判決)、売却した土地が実際には登記簿上の面積の約10倍の広さであった事例(広島地裁昭和50年5月14日判決)では、錯誤の主張が認められています。
 本件では、面積の差は約1.5倍でしたが、住宅地であったこと、金額に換算すると相応の違いがあったことから、上記のような解決ができました。
参考条文:民法第95条
1 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。